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ハサミ男

 土曜日、PROOFの佐藤マスターに「感想を聞かせて」と言われて貸してもらっていた「脳男」を読み終え、帰宅途中の地下鉄で読む本が無いことに困り果てた私の足は、自然とPROOFへ向いた。
 なにがしか飲み終えた頃、マスターが棚から一冊の文庫本を引っ張り出して来た。
 聞けば知り合いが面白いからと貸し付けていったものらしい。
 いまは重たい本を読む気分じゃないので、先に読んで感想を聞かせてと渡されたその本、「ハサミ男」のページをさっそくペラペラとめくってみる。事前知識のない本をチェックする場合、私はまず献辞と解説ないし後書きを見ることにしている。いつものセオリーに乗っ取って表紙を開き献辞をチェック。藍上雄・・・どこかで聞いた名だな・・・解説は小谷真理・・・シャア好きのSF評論家か・・・最初の方を軽く読んでみる。文体は好みで導入も良い。
 でもこれはどっちかというと私向きで、佐藤マスターの好みではないんじゃなかろうか・・・

 つらい毎日を送る中、心が癒されるのは良質な映画や書籍に出会ったときである。しかし、本当に良いと思える
映画も書籍も、年に何本も出会える物ではない。
 この日の私は幸運だった。東京へ向かう新幹線の中、30分ばかり読んで時間をつぶして、それから軽く寝て
打合せの作戦を考えようと思っていた。
 だけれどもそうはならなかった。
 中盤まで読み進んだ「ハサミ男」があまりにも面白く、途中で止められなくなったから。
 横浜当たりで読了してしまった。読み込んで頭の中に描いていた構造がガラガラと音を立てて壊れ、再構築されていく快感。
 とまどいながら前半の方を読み返し、その見事な仕掛けに感嘆してしまった。仕掛けの一部に、読者である男(つまり私)の勝手な先入感が大きく利用されているのも評価が高い。
 しかしあからさまにディプトリー・Jrの名前なんぞ出して臭わしてるのになぁ・・・
 エクセレント、というには推理小説だけに真犯人の心理描写が弱いという逃れられない欠点があるが、主人公の連続殺人犯「ハサミ男」の魅力はそれを補ってあまりある。
 この小説、映画化されているらしいけれど、どうやったんだろう。
 大ネタが映像にするとモロバレなんだが・・

ハサミ男
ハサミ男
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